三好左京太については不詳だが、本書では後にも三好露山と名を変えて登場している。伊藤金五郎は十世名人六代宗看の三男。六段まで昇ったが放蕩にて勘当≠ウれたと伝えられている。

本局、序盤は左京太の方が近代的な感覚で、じっくり矢倉に組上げる。逆に金五郎は9筋の突き越しなどいかにも温い感じ、38手目5三銀と立て直しを図る様では明らかに作戦失敗である。先手は5筋の歩交換から位を奪い返してますます好調、59手目5六銀までほぼ理想形に組上げる。5四歩の反撃(同歩は7三角)に4六角から4八飛と攻めの体制を作って、さあどう決めようかという局面なのだが…67手目2二歩で4五歩と打ち、3六歩、2五桂、3四銀直、4四歩、同銀、5四歩位で大優勢(5五歩には同角がある)又、71手目2五桂でも4四歩、同銀、5四歩で4五桂の捌きを見れば楽勝と思う。本譜78手目2五歩で投了とはなんとも不可解。以下5四歩でも4四歩、同銀、5四歩でもまだまだ大変(むしろ先手持ちの人が多いのでは?)で、左京太はもっと良くなるはずだったので桂損に嫌気が差したか?あるいは何か急用でも生じたのだろうか。