第三十二局 御城将棋写 より

 十二歳の印寿はこの日三代宗与と飛車落ちで対戦して勝利を収めている。
御城将棋のデビューはこの一年前。本局は御好みとあり、おそらく勤めを
終えた印寿と、父宗与に付いてきた九歳の宗民との対局が見たいとの所望が
あって、急遽組まれた一局と思われる。
 印寿の原始棒銀に宗民は四間飛車に振るが、13手目3六歩にまた2二飛と
回る辺りまだあまり将棋が分かっていない様子。20手目5二金左はさすがに
温く、25手目3四歩まで絵に書いたような押さえ込み成功の形。何はともあれ
3二飛と受けておくよりなかった。27手目4四銀は危ない手で、同銀、同角に
4二飛と指せば以下1一角成、4七飛成で一波瀾あったかも。4三金が敗着で、
守備駒が離れて3二飛の両取りを食らってはもういけない。実力的に大駒一枚
以上は離れている感じで、少年同士の対局だけに三歳の年齢差はかなり大き
かった様だ。