第三十九局 将棊粹金 上 より

福泉藤吉(左香落) ― 丸谷傳次郎  戦

 前局から数ヶ月を経ての両者の再戦。今度は藤吉も三間飛車から普通に
囲う。あるいは前回の敗戦に懲りて定跡を勉強してきたのかも。22手目1四
歩の仕掛けは今がタイミング。30手目2四歩では4五歩と突きたい。2四同角
に同飛から2三角はさすがに乱暴で、ここでも最善は4五歩だろう。1九飛から
桂を取り返して上手好調、下手は駒損だしすぐに3三とと寄れないところが辛い。

 43手目8四香は手筋。続いて9五桂から8七桂成りは少々急ぎ過ぎの感は
あるが、藤吉は早くと金を清算してしまいたかったのだろう。57手目3六歩から
今度は上手のと金攻め。68手目3五桂で一見上手困ったかに見えるが、ここ
で5三角が見事な切り返し。あるいはこの手を傳次郎は見落としていたか?

 4九とが来る前に何とか食い付きたい下手だが、本局の藤吉は75手目6二角
や次の5一桂など実に手堅い指し回しで手を作らせない。81手目待望の4九と
に手が回り、銀得となっては上手の勝勢。以下も丁寧に受けに回って、123手
目4一銀左までほぼ完封状態。ところが138手目3二歩成に1四飛成が少々危
ない手で、と金が残って7六桂でにわかに怪しくなってきた。ここはずっと面倒を
見てきた流れのまま3二同銀上が安全だった。

 おそらく藤吉は本譜149手目9四角で受け切りの読みだったのだろうが、7六
銀がしぶとい一手で容易でない。玉を追いながら銀、桂を奪って逆転ムード。
上手8七歩と攻め合うが160手目6五桂が痛打、馬を消して170手目8六銀まで
自玉の危険を解消しては完全に形勢は入れ替わった。4四玉とかわして粘るが、
入玉はとても困難であとは下手の寄せを見るばかりと思えたのだが‥‥2四角は
単調で7二桂成としたい。次の4七桂でも7二桂成だろう。183手目3四歩に同銀
で投了とは傳次郎あまりの乱戦に疲れ果てて気力を無くしたか?まだ7二桂成で
大変な将棋と思えるのだが。