第四十五局 将棊絶妙 上 より
伊藤印達(左香落) ― 宮本印佐 戦





















 宮本印佐は二代宗印の代表的な高弟で七段まで昇った。この対局時は
四段である。伊藤印達は宗印の長男で、10代前半で早くも五段となった
英才であったが、後“悲劇の争い将棋”と呼ばれことになる六代大橋宗銀
との四番手直り五十七番指しを戦いこれに制勝したものの、この勝負によ
る疲労からか15歳で惜しくも早世した。

 17手目1四歩と受けるのは上手三間飛車では珍しい形。24手目7七銀は
角を使い辛くなるので疑問。続いて5七銀から6六銀左も筋悪で、3六歩から
飛車先を交換され4八銀と戻る様では明らかに失敗。しかし上手6四角の覗
きが調子に乗り過ぎで、本譜の順で2筋を破られてしまう。

 ここは単に3四飛と引いておくべきだった。42手目2二飛成りで下手優勢、
2八歩から3三桂の活用で反撃を見るがさすがに軽すぎて手になりそうもない。

 48手目4四銀では4六歩なら完封だろうし、2五歩ではあまりに辛いので
4五桂しかないと思う。どうもこの辺両者雑である。5三歩も指し過ぎで、4三
銀成りから4六歩として次に4七銀から5六の歩を取りにいきたい。
 
 3三銀成、同飛で上手の駒が捌けてきた。57手目3二飛に同竜は敗着と
言ってもよい悪手、2六竜と引くより他無かった。64手目2四飛の合せから
上手に主導権が移り、辛い2八飛に3三銀がと金の当りを未然に避けて味が
良い。
 
 73手目3四銀では5七銀が分かり易かったが、77手目2四飛から2二飛と
と金を払って安全に指す方針なのだろう。89手目2八とまで飛車を取り合うが
ここでは陣形の差があまりに大きく、以下手数はかかったが駒得しながらの
寄せで問題なし。中、終盤の力は大差のようで、最後は印達の圧勝となった。