§38.4五角戦法
やはり戦法の中でも「人気のある・なし」が出てきますが、それが必ずしもプロとアマで一致するとは限りません。
不思議なもので今回の「4五角戦法」は、プロ同士ではほとんど出現しませんがアマチュア間では非常に人気があります。際どい攻防と事前の研究が生かしやすいからでしょう。
今回の定跡は適当に覚えては通用しません。一手一手の狙いをシッカリ理解して下さい。
(第1図は△4五角まで)
冒頭図からの指し手

△8八角成 ▲同銀
△2八歩 ▲同銀
△4五角 (第1図)
★CHECK★
△2八歩が大事なポイント。
この打ち捨てがないと△4五角に▲2四飛△2三歩▲2八飛と引かれて△6七角成が成立しなくなります。
★4五角戦法の狙い★
角交換をした後△2八歩、そして△4五角と打つのが本戦法骨子の手順です。
一見ただの飛車取りに見えますが、真の狙いは別にあります。
例えば▲2四飛△2三歩▲2六飛なら△6七角成の強襲が成立(変化1図)。
以下▲同金△8八飛成と進むと後手が優勢です。
ですから先手は第1図を安易に考えてはいけません。半ば3四飛を見捨てる覚悟で強気な受けが必要になってきます。

具体的な候補手は▲8七歩、▲7七角、▲2四飛。そして最近では▲3五飛も有力視されています。
(変化1図は△6七角成まで)
★MEMO(変化いろいろ)★
△2八歩のところで△3八歩と打つ手や、▲2八同銀と取る前に▲7七角などの変化もあります。
細かく解説すると難しくなるので触れませんが一度調べておく方が良いでしょう。
(第2図は▲7六銀まで)
第1図からの指し手 (1)

▲8七歩 △7六飛
▲7七銀 △3四角
▲7六銀 (第2図)
★CHECK★
微妙だが▲2四飛△2三歩▲8七歩よりも本譜の方が勝る。
★8七歩の変化★
▲8七歩には△7六飛と歩を取るのが自然な手。
これには先手も▲7七銀と形を整えながら応じます。
ここで二枚換えを狙う△7七同飛成には▲3二飛成(詰めろ)の切り返しがあるので、後手は単に△3四角と取るのが最善。
第2図は一局の将棋で、以下は後手の△8八歩から激しい攻め合いが予想されます(すぐに△2六飛は▲1五角)。
★MEMO(後手良し?)★
第2図以下△8八歩▲7七桂△8九飛で「後手が指しやすい」が定説。
しかしその後、先手にも▲6五桂や▲5五角など手段が多く、実際は「ほぼ互角」と見る方が正しいでしょう。
(第3図は△3三桂まで)
第1図からの指し手 (2)

▲7七角 △8八飛成
▲同角 △3四角
▲1一角成 △3三桂 (第3図)
★CHECK★
実戦数は少ないがこの変化でも先手十分に戦える。
★7七角の変化★
▲7七角は力強い反発。
△3四角▲8六角は次に▲5三角成があるので先手が得です。
後手は△8八飛成と切ってから△3四角と取るのが良く、以下は先手も▲1一角成と攻め合います。
銀・香交換で後手の駒得ですが、馬の存在と▲3六香の狙いがあって形勢は互角。
△3三桂と跳ねた第3図はまだまだ難しい局面です。
★MEMO(互角の形勢)★
▲7七角と打てば△3三桂までは一本道で進みます。
第3図で▲3六香はかなり厳しい手ですが、△3五歩▲同香△2五飛でやはりいい勝負です。
(第4図は▲7七角まで)
第1図からの指し手 (3)

▲2四飛 △2三歩
▲7七角 (第4図)
★CHECK★
△2三歩のところ△6七角成は先手指せる。
★2四飛の変化★
▲2四飛が一番多く指されている変化です。
ここで△6七角成は大丈夫でしょうか?
以下▲同金△8八飛成▲2一飛成△8九竜▲6九歩と進み(変化2図)、
△5五桂▲6八金△6七銀▲5八金寄!で後手の強襲をかわすことができます。
最後の金寄りが気付きにくい好手なので長い手順ですが覚えておきましょう。

本譜△2三歩と打たれたところで先手は▲7七角と打ち返します。
この2手の交換がどう影響するかがポイント。
続きを見ていきましょう。
(変化2図は▲6九歩まで)
(第5図は△3三桂まで)
第4図からの指し手

△8八飛成 ▲同角
△2四歩 ▲1一角成
△3三桂 (第5図)
★CHECK★
△3三桂のところで△8七銀の奇手もある。
▲同金は△7九飛で後手有利だが、▲7七馬で先手十分。
★ポイントは距離感★
▲7七角の後は同じように進みます。△3三桂と跳ねて第5図。
第3図との違いは後手の角の位置と持ち駒に歩がないこと。これをどう見るかは難しいところです。
ほとんどの定跡書では「第5図で▲3六香が最善」と書かれていますが、他にも有力手がたくさんあります(▲8六飛など)。
また、後手にも手強い反撃策がいくつかあり、形勢は「この後の指し手次第」といった感じです。
この戦法は
あまり駒の損得にとらわれず王様への距離感を正しく計るのがポイントと思って下さい。
★MEMO(3五飛の変化)★
最後に▲3五飛について触れておきましょう。
この手は最近有力視された手で△6七角成と攻められて一見悪そうに見えますが、角成りの瞬間▲7七角!と打つのが意表の受け(参考図)。
以下△8八飛成には▲同金。
△7八馬には▲8六角△8八馬▲5三角成と勝負します。
まだハッキリとした定跡は確立されていませんが、かなり先手有望で今後の研究に注目したい変化です。
(参考図は▲7七角まで)
「先手良し」というのが一般的な説ですが、変化が膨大で後手にも工夫の余地があるだけに先手も十分な警戒が必要です。
一手間違えれば即負け・・・そういう将棋の恐さが一番認識できる戦法かも知れません。
※4五角戦法について詳しく知りたい方は「羽生の頭脳10・最新横歩取り戦法」を参照して下さい。


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