§57.4六銀型攻撃陣
前回は「矢倉」の序盤について勉強しました。
しかし同じ金矢倉に囲っても、お互いがどのような攻撃陣を用いるかによって展開は大きく異なります。そこで今回から色々な攻撃パターンについて見ていきたいと思います。
最初に紹介するのは「4六銀型」です。
現代の矢倉定跡の中でも採用率が高い布陣で、これから矢倉を覚えようと思っている方も是非知っておいてほしい形です。
【4六銀型の基本】
まずは部分図で基本的な狙いを覚えましょう。
(4六銀型の基本図) 左図が4六銀型の攻撃陣です。
前回の「矢倉24手組み」の局面から▲3七銀(または5七銀)〜▲4六銀と上がり、▲3七桂と跳ねて▲3八飛と寄ればほぼ完成になります。
基本図では5七角ですが、6八角の位置で備える場合もあります。
端歩に関しては1五歩まで伸びていると破壊力が増すので、できれば突いておいた方が良いでしょう。
基本図からは▲3五歩△同歩▲2五桂と仕掛けます。
ここは先に▲2五桂と跳ねても良いでしょう。
▲2五桂に対して△2四銀と逃げるのが自然ですが、以下▲3五銀とぶつけていくのが一連の手順です。これによって先手の飛車・角も働いてきました。
▲3五銀以下、△同銀▲同角△3四歩▲5七角で左図になります。
この局面においてのポイントは、
  ・攻めの銀がさばけた
  ・3筋の歩が持ち駒になった(次に▲3三歩などが厳しい)
の2点。これは見た目以上に大きな価値があります。
更に付け加えると桂馬も2五まで跳ねて活用できているので、ここまで進めば先手十分な展開と言えるでしょう。これが「4六銀型攻撃陣」の基本です。
この後は「実戦編」で詳しく見ていきます。
★MEMO(手順前後は成立するか)★
解説の仕掛けでは▲3五歩△同歩▲2五桂という順ですが、先に▲2五桂もあります。やはり△2四銀と逃げますが、そこで▲3五歩と突くとどうなるでしょうか?

△3五同歩なら同じ局面ですが、ここで後手には△4五歩と突く手筋があります(変化1図)。▲4五同銀と取りますが△3五歩として次に△4四歩と打つ(銀の逃げ場がない)のが狙い。
ただ、この変化も▲3三歩や▲3五角△同銀▲同飛という手があるので先手の攻めを振り解くのは容易ではありません。これも基本手順なので覚えておきましょう。
(変化1図は△4五歩まで)
【実戦編】
理想形とも言われる「4六銀型」。その実戦例を見ていきます。
(第1図は△8二飛まで)
第1図からの指し手

▲6五歩 △4二角
▲3五歩 △同歩
▲2五桂 (第2図)
★CHECK★
先手の攻撃陣は「基本編」で解説したのと同じ構え。
後手の6四角が気になるが・・・。
★仕掛けの前に★
第1図から仕掛けていきますが、その前に後手の6四角が気になります。
この角が先手の飛車先(3七の地点)や、1九香を睨んでいるので先手は一旦▲6五歩と突いて追い返します。
△6五同桂とされたら▲6六銀として桂馬が取れるので大丈夫です。
△4二角と引かして後、いよいよ仕掛けを決行します。
▲3五歩〜▲2五桂。これは「基本編」で解説した通りなので難しくはないでしょう。
(第2図は▲2五桂まで)
第2図からの指し手

△2四銀 ▲3五銀
△同銀 ▲同角
△3四歩 ▲6八角 (第3図)
★CHECK★
△2四銀のところ△8六歩もある。
▲同歩でも▲同銀でも△9五銀と出るのが狙い。しかしこれも▲3三桂成と銀を取れるので先手が少し良さそうだ。
★「基本編」通りに進む★
△2四銀と逃げれば▲3五銀以下「基本編」で解説した通りに進みます。
うまく4六銀がさばけて第3図ですが、ここからもう少し進めてみましょう。
「4六銀型攻撃陣」の破壊力が更に分かります。
(第3図は▲6八角まで)
第3図からの指し手

△7五歩 ▲3三歩
△同桂 ▲1三桂成
△同香 ▲1四歩
△同香 ▲同香 (第4図)
★CHECK★
第3図で△2四歩でも▲3三歩が急所の一手。以下△同桂に▲2四角と進めるのが良い。
★急所を突く3三歩★
△7五歩から反撃する後手に対して、先手は更に攻撃の手を緩めません。
▲3三歩が急所の一撃。
駒損しないように△3三同桂と取りましたが、そこで▲1三桂成と反対側に成るのが好手。以下、第4図まで進んで端を突破することができました。
▲3三歩〜▲1三桂成はかなり気付きにくい手なので、すぐに読めなくても気にすることはありませんが、この「4六銀型」をマスターするなら一応は知っておきましょう。
(第4図は▲1四同香まで)
矢倉は難しい戦法なのでまずは部分図から基本手筋などを覚えていくのが分かりやすいと思います。
少し高度な技も出ましたがジックリ盤に並べながら研究してみて下さい。
※矢倉について詳しく知りたい方は「羽生の頭脳5」、「羽生の頭脳6」、または「康光流現代矢倉全3巻」などを参考にして下さい。


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