§51.棒銀(角換わり)
角換わりのトップバッターは「棒銀」です。
対振り飛車でも登場した戦法ですが、今回は相居飛車型なので内容は大きく異なります。
ベテラン棋士・加藤一二三九段が愛用していたこともあり、また、覚えたてのビギナーに教える基本のひとつとしてもよく挙げられるので、有段者から級位者まで幅広く用いられる戦法です。

まずは前回の角換わり基本形からスタートします。
(第1図は▲2六銀まで)
冒頭図からの指し手

▲3八銀 △7二銀
▲2七銀 △7四歩
▲2六銀 (第1図)
★CHECK★
この銀が働くかどうかがカギ。
★棒銀の狙い★
▲3八銀〜▲2七銀〜▲2六銀と進めるのが「棒銀」の進出ルートです。
ここで棒銀の狙いを確認しておきましょう。
基本的には2筋を突破することが目標ですが、飛車と銀だけの攻めなので簡単にはいきません。
ですから場合によっては3三銀と刺し違えることで満足することもあります。
もう少し進めて具体的に見ていくことにします。
(第2図は▲2四歩まで)
第1図からの指し手 (1)

△7三銀 ▲1五銀
△1四歩 ▲2四歩 (第2図)
★CHECK★
この▲2四歩はよく現れる手ですが、シッカリ読みを入れて指しましょう。
★棒銀の基本★
この手順で注目してほしいのは後手が△1四歩と突いた局面です。
手拍子で▲2六銀と後退してしまいそうですが強く▲2四歩と突くのが好手。
第2図で△1五歩と銀を取れば▲2三歩成△同金▲同飛成で2筋を突破できます。
後手としては△1五歩の代わりに△2四同歩▲同銀△同銀▲同飛(変化1図)と進める方がマシですが、これは先手の銀が後手の3三銀と交換したことになります。
変化1図は先手の「攻めの銀」と後手の「守りの銀」の交換なので、これも棒銀の攻めが成功したと考えます。
まずはこれが最初のステップです。
(変化1図は▲2四同飛まで)
★MEMO(銀がさばけると棒銀は満足)★
「攻めの銀」と「守りの銀」の交換は大きなプラスです。
先手の「攻めの銀」は持ち駒になることで活用範囲がとても広くなります。
また、後手の「守りの銀」はなるべく持ち駒の状態よりも盤上(特に王様の近く)にあった方が良いのです。
この2点を考慮して変化1図は先手やや良しと判断できます。
【棒銀の変化いろいろ】
単純な狙いでも奥が深い「棒銀」。その中で代表的な変化を見ておきましょう。
(第3図は▲1五同銀まで)
第1図からの指し手 (2)

△1四歩 ▲1六歩
△7三銀 ▲1五歩
△同歩 ▲同銀 (第3図)
★CHECK★
この端の攻防も基本手順なので覚えておきましょう。
★端の攻防★
【1四歩型】
第1図から先に△1四歩と受ける手には▲1六歩〜▲1五歩と突いていきます。
△1五同歩に対して先手は▲同銀と銀の方で取るのが正着で、ここを▲1五同香と取ると△1三歩(変化2図)と打たれて2六の銀が働かなくなってしまいます。
銀・香交換でも端への攻めが続くので「▲同銀が勝る」という判断です。
これも「棒銀」では基本とされている手順なので覚えておきましょう。
(変化2図は△1三歩まで)
★MEMO(銀・香交換ながら互角)★
第3図以下△1五同香▲同香と進み、銀・香交換ですが形勢は互角。
そこから
  ・△1三歩なら▲1二歩△2二銀(または△2二銀打)▲1九香
  ・△1六歩なら▲1八歩△4四銀▲2四歩
という展開になります。
(第4図は▲1五銀まで)
第1図からの指し手 (3)

△7三銀 ▲1五銀
△2二銀 ▲2四歩
△同飛 ▲同銀
△2三歩 ▲1五銀 (第4図)
★CHECK★
△2二銀の形で△1四歩を突かれると▲2六銀と引く一手になります。
ですから2筋の歩を交換するならこのタイミングしかありません。
★受け重視の銀引き★
【2二銀型】
後手が△2二銀と引く変化もしばしば見られます。
こうなると一気に攻略するのは難しいので、先手は焦らずに2筋で歩を交換しておきます。
平凡な手順ですが歩が持ち駒になるのは大きなプラスなのです。
この後は1五の銀が活躍することを重視して進めていきましょう。
★MEMO(銀の再活用)★
第4図の後、1五の銀が立ち往生してはいけません。
▲2六銀〜▲2五銀として銀を立て直すのが筋の良い指し方です。
これで次に3四歩を狙いますが、△3三銀なら再度▲2四歩から銀交換を迫っていきます。
(第5図は△5四角まで)
第1図からの指し手 (4)

△7三銀 ▲1五銀
△5四角 (第5図)
★CHECK★
棒銀対策の角打ち。実戦例も多い。
★好位置の角★
【5四角型】
これも比較的実戦例が多い変化です。
△5四角は▲2四歩△同歩▲同銀の瞬間に△2七歩(変化3図)が狙い。
また、間接的に7筋、8筋への攻めにも役立ちます。
とりあえず先手は▲2四歩の前に一度△2七歩への備えが必要です。
第5図で最有力なのが▲3八角。他には▲2六飛、▲3六角などもあります。
(変化3図は△2七歩まで)
★MEMO(玉の位置)★
すべての変化に共通することですが一度▲6八玉と上がって居玉を避けるのも良い手です。
但し、後手も△6四銀〜△7五歩と攻めてくる筋があるので、その辺を考慮して仕掛けのタイミングを計りましょう。
「棒銀は全ての戦法の基本」と言われるだけあって、やはり相居飛車の中でも有力な作戦です。
これをマスターすれば自然と将棋の基本が身に付いて、他の戦法でも応用できるようになるでしょう。
※角換わり棒銀について詳しく知りたい方は「羽生の頭脳7・角換わり最前線」を参照して下さい。


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