§16.藤井システム
居飛車の左美濃、穴熊は非常に有力で、振り飛車党にとってその対抗策は大きな課題でした。
そんな中、藤井猛九段の卓越した序盤センスと深い研究の末に誕生したのが「藤井システム」。
左美濃・居飛車穴熊をターゲットとした緻密な駒組みが一躍プロ間でも認められ、平成9年には第24回将棋大賞の「升田幸三賞」をも受賞した戦法です。
【左美濃対策】
まずは左美濃対策の藤井システム。第1図の振り飛車陣がその基本型。
(第1図は△3三角まで)
第1図からの指し手

 ▲6六銀  △6五歩
 ▲7七銀引 △4五歩
 ▲7九角  △4三銀  (第2図)
★CHECK★
この形の大事なポイントは2点
・△3二銀(△4五歩が狙い)
・△7一玉(この位置の方が安全)
★四枚美濃には△6五歩★
第1図が居飛車の作戦の第一分岐点ですが、今回は▲6六銀から「四枚美濃」を目指す展開を見ていきましょう。
▲6六銀には△6五歩と突きます。この6筋の位の大事さは「§14.左美濃」でも解説しました。
▲7七銀引の一手に△4五歩がポイント。
これが△3二銀の形で待機していた効果で、次に△4六歩▲同歩△同飛があります。
形良く▲7九角と引きながら▲2四歩を狙いますが、ここで△4三銀と上がります。
(第2図は△4三銀まで)
第2図からの指し手

 ▲3六歩  △8四歩
 ▲5七角  △8五歩
 ▲同歩   △同桂  (第3図)
★CHECK★
第2図で▲2四歩には、△同歩▲同角△2二飛が用意の切り返し。
以下▲3三角成は△2八飛成で振り飛車が良い。
この△2二飛は基本手筋なのでビギナーも覚えておいて下さい。
★狙いは玉頭攻め★
対左美濃・藤井システムの要となるのが△8四歩。
これがいつでも△8五歩からの攻めを狙う大きな一手で、本譜のように仕掛けたときに振り飛車の△7一玉の良さがわかってきます。つまり
玉頭戦(8筋での攻め合い)のときに△8二玉より△7一玉の方が安全という意味なのです。

第3図は振り飛車が十分な局面。
以下▲8六歩には△7七桂成で銀・桂交換で駒得。
▲8八銀には△8六歩と打って大きな拠点ができます。
(第3図は△8五同桂まで)
★MEMO(ポイント)★
高段者にも難しい「藤井システム」ですから、ビギナーの方が理解するのはかなり困難だと思います。
この左美濃対策のポイントとしては
▲8七玉型・左美濃の急所は△8五歩からの「玉頭攻め」ということ。
早目の△7三桂や△7一玉の位置で構えた振り飛車の駒組みはそのことを視野に入れたものです。
【居飛車穴熊対策】
次に居飛車穴熊対策の藤井システム。意外な玉の定位置とは・・・
(第4図は△3三角まで)
第4図からの指し手

 ▲9八香  △7三桂
 ▲6六歩  △4五歩
 ▲6七金  △8五桂
 ▲6八角  △6五歩  (第5図)
★CHECK★
第4図は居飛車側も自然な駒組み。
ここでも振り飛車は早目に△7三桂の攻撃陣を築き上げるのがポイント。
★斬新!居玉で仕掛ける★
居飛車の▲9八香の瞬間が仕掛けのタイミング。
まず△7三桂として、次に△6五桂を見せる。当然、居飛車は▲6六歩(▲6六銀は△4五歩で振り飛車十分)。
その後、△4五歩〜△8五桂と跳ねた第5図は既に振り飛車ペースになっています。
桂馬と角のラインが居飛車の玉を睨んでおり、受け方がかなり難しいのです。
(第5図は△6五歩まで)
第5図からの指し手

 ▲5五歩  △6六歩
 ▲同銀   △6五歩
 ▲同銀   △4六歩
 ▲同歩   △5五角  (第6図)
★CHECK★
△8五桂に▲8六角と逃げても△6五歩と突いていきます。
★厳しい角のライン★
▲5五歩は手筋。角を5五の近づけておけば▲6六同銀が角取りになる意味。
しかし△6六歩〜△6五歩が厳しい継続手で、以下華麗な手順で第6図は振り飛車大優勢の局面。
ちなみに▲4六同歩のところ▲同角は△同飛▲同歩△4七角(金・銀両取り)です。

細かい変化はありますが、いずれにしても角のラインが強力で振り飛車が一方的に攻める展開が期待できます。
(第6図は△5五角まで)
★MEMO(ポイント)★
角のラインで穴熊に組まさせないのがこの形の狙い。

素早い仕掛けを用意する為に△9五歩、△4五歩、△7三桂〜△8五桂(あるいは△6五歩)を優先させた駒組みになっています。
「居玉」での仕掛けですが、意外にこの位置が一番安定感があるのです。
今回はビギナーにはかなり難しい内容になってしまいました。このシステムの優秀さが少しでも伝わったでしょうか?
とりあえずは、この「藤井システム」の存在が振り飛車の新しい可能性を導き出したことだけでも知っておいて下さい。


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