§46.腰掛け銀
四間飛車の章でも「§11.腰掛け銀」を紹介しましたが、今回勉強する「腰掛け銀」は同じ名称ながら内容は全く異なります。
この戦法の歴史もかなり古いのですが現代将棋では先手と後手の指し方が極端に違うのが特徴。
いきなり最新形を解説しても理解しにくいので、有力と評される形をいくつか簡単に見ていきたいと思います。
(第1図は△5四銀まで)
冒頭図からの指し手

▲4七銀 △6三銀
▲5六銀 △5四銀 (第1図)
★CHECK★
銀が中央で向かいあう。
これが相掛かり・腰掛け銀の基本。
★腰掛け銀の構え★
▲5六銀に対して△5四銀と出るのが「腰掛け銀」の構え。
△7四銀と出れば前回紹介した「鎖鎌銀」です。
この後お互いに自陣の整備に入りますが、仕掛けとしては▲4五銀や、右桂を活用して▲4五桂などの筋を中心として考えておきます。
後手側も先手がいつ動いてくるか警戒しておきましょう。
(第2図は△5二金まで)
第1図からの指し手 (1)

▲6八玉 △4二玉
▲5八金 △5二金 (第2図)
★CHECK★
ここはお互い手が広い。王様と右金のポジショニングをどうするか。
★駒が偏らないように★
第1図はかなり手が広い局面。
ここから王様を囲っていくのですが、お互いの角が向かい合っているので慎重に進めなければいけません。
極端に言えばアナグマのように駒が偏ると隙が生じやすいのです。
第2図は王様と右金を寄せただけですが、一応これで囲いの第一段階は終了です。
★MEMO(玉・金の位置)★
ここでの囲い方が中盤以降の戦いに大きく影響します。
第2図は先手・後手共に同じ構えをしていますが、これは一例。
他には参考1図のように
  ・▲6八玉▲4八金型
  ・中住まい(▲5八玉)型
などがあります。
▲4八金は△3八角の筋に備えたり、▲3七桂にヒモをつけておいたりする意味。
それぞれ一長一短なので指す人の好みといった感じです。
(参考1図は△7四歩まで)
(第3図は▲4五同歩まで)
第1図からの指し手

▲4五銀 △同銀
▲同歩 (第3図)
★CHECK★
銀と銀がぶつかる音をイメージして名付けられた「ガッチャン銀」。
★銀をぶつける仕掛け★
▲4五銀が通称「ガッチャン銀」と呼ばれる仕掛けです。
この銀出に対して△6五銀とかわすのは▲3四銀で先手良し。
つまり、この銀は取る一手なのです。
単純に見れば普通の銀交換とも言えますが、先手の4筋の歩が五段目まで伸びているのは大きなポイントです。
第3図は特に形勢が傾いたという訳ではありませんが、この仕掛けは頻繁に出現しますから覚えておいて下さい。
★MEMO(仕掛ける前に考える)★
本譜はシンプルに▲4五銀とぶつけていきましたが、▲3七桂と右桂を参加させてから仕掛けていくのが本筋かも知れません。
第3図では△8八角成〜△3八角があるので先に▲4八金型で構えておくのも有力です。
相掛かりの将棋は仕掛けてからの軌道修正が難しいので、この辺りを慎重に読んで進めていきましょう。
【4四歩型・腰掛け銀】
先手の仕掛けを警戒した完全持久戦模様。
(第4図は△4三銀上まで)
第1図からの指し手 (2)

▲6八玉 △4四歩
▲5八金 △4二銀
▲7七角 △4三銀上 (第4図)
★CHECK★
8二飛・4四歩型は攻略が難しい。
先手も囲いを強化して万全の体制を目指す。
★守りを固める★
▲4五銀の筋を防いで△4四歩と角道を止めるのも有力な指し方。
こうなると一気に攻め潰すのは難しく、先手は一旦囲いの強化に入ります。
第4図以下はしばらく駒組みが続き、参考2図がその一例。
ここまで組めると守りがかなり堅いのでタイミングを計って▲4五歩や▲5五銀の筋を中心に仕掛けていく展開になります。

後手側としては自ら手を出しにくいのが難点で、違う変化を求めるなら早い段階で△6五銀とぶつける「後手ガッチャン銀」などがあります。
(参考2図は△8一飛まで)
★MEMO(難解の将棋)★
参考2図まで組めるとシッカリした囲いになるのですが、後手陣への攻略が難しいことには変わりありません。
仕掛けの権利は先手にあります。細い攻めをどれだけうまく繋げていけるかが勝負です。
【6五歩位取り】
比較的新しい指し方。6筋が戦いの急所になる可能性大。
(第5図は△6二飛まで)
第1図からの指し手 (3)

▲6八玉 △4二玉
▲5八金 △5二金
▲3六歩 △6五歩
▲3七桂 △6二飛 (第5図)
★CHECK★
角道を止めない分「4四歩型」よりも積極的な動きと言える。
★争点を6筋へ★
6筋の位を取るのが最近になって現れた指し方。
この△6五歩は△6六歩などの筋を中心にかなり価値の高い手なのです。
先手が右桂の活用を図った手に対して△6二飛が継続手。
ここから6筋を争点として戦いが起きます。
8一桂が使いにくいのが難点ですが、現段階では非常に有力な作戦として見られています。
おそらく相掛かりの戦法の中で一番難しいのがこの「腰掛け銀」だと思います。
特に決まった定跡というのもないので一手一手に悩むことになりますが、その分個人の構想力が表現しやすいとも言えます。
※腰掛け銀戦法について詳しく知りたい方は「羽生の頭脳8・最新のひねり飛車」を参照して下さい。


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