§45.鎖鎌銀
前回の冒頭文で書きましたが相掛かりの急所は「角頭」です。
今回の「鎖鎌銀(くさりがまぎん)」も、お互いの右銀がその地点を狙い前進していきます。
最近のプロ間では殆ど見られない作戦なので知らない方もいると思いますが、相掛かりの特色がよく出ているのでこの機会に参考にしてみて下さい。
(第1図は△7四銀まで)
冒頭図からの指し手

▲5六銀 △7四銀 (第1図)
★CHECK★
△7四銀が鎖鎌銀と呼ばれる手。
★鎖鎌銀の狙い★
▲5六銀に対して△7四銀と出るのが「鎖鎌銀」の一手。
ここで△5四銀と出ると「腰掛け銀」になります。 
※「腰掛け銀」は来週解説します。
後手の狙いは△8五銀〜△7六銀と出て8七の地点を攻めること。
この単純な狙いの受けが意外と難しいのです。
(第2図は▲2三銀不成まで)
第1図からの指し手

▲4五銀 △6五銀
▲3四銀 △7六銀
▲2三銀不成 (第2図)
★CHECK★
▲2三銀不成のところ、銀を成るのはやや重い。▲3四銀成などを見越し成らない方が良い。
★銀を出るのが本筋★
第1図で▲2二角成△同銀▲7七桂と指せば後手の△8五銀を防ぐことができますが、これには後手も△6三銀(参考1図)と引いて△7四歩から桂頭を狙ってきます。
やはり第1図では▲4五銀と動いていくのが当然とも言える一手で、後手も負けじと△6五銀と前進です。
先手の方が一手早いので良さそうに感じますが、このあと後手に本作戦の骨子とも言える手順が現れるので注目しましょう。
(参考1図は△6三銀まで)
(第3図は△4四角まで)
第2図からの指し手

△8八角成 ▲同銀
△4四角 (第3図)
★CHECK★
△4四角が後手の狙いの一手。
★強烈な4四角★
△8八角成〜△4四角と打つのが後手の狙い。
これが飛車取りと同時に△6七銀成(取れば△8八角成)の筋も含んでいます。
第3図になってみると容易ではないことが分かってきたでしょう。
先手はここでどう対応するかが勝負のカギを握ります。
★MEMO(先に7四銀と出る形)★
この鎖鎌銀はもうひとつ別の形があります。
それが参考2図のように△3四歩を突かないで△7四銀と出る作戦。
やはり狙いは△8五銀(もしくは△6五銀)〜△7六銀ですが、本編と比べると後手の銀の動きが一手早いので先手も十分注意しなければいけません。
例えば▲5六銀と出れば△8五銀で簡単に後手良し。
参考2図では▲4五歩と飛車の横利きを通して受けるのが良いでしょう。
(参考2図は△7四銀まで)
(第4図は△3二同銀まで)
第3図からの指し手 (1)

▲3六飛 △3五歩
▲2六飛 △6七銀成
▲3二銀不成 △同銀 (第4図)
★CHECK★
とりあえず飛車を逃げてみる。
これはいい勝負だ。
★実戦例その1★
ここから実戦例を2つほど紹介します。

第3図で▲2八飛と引くのは△2七歩と打たれて先手不利。
同じ飛車を逃げるなら▲3六飛の方が勝ります(△2三金には▲3一飛成)。
△3五歩と打たせて再度▲2六飛と戻りますが、後手も△6七銀成が実現。
第4図までが考えられる進行ですが、ここではお互いの銀が働いていい勝負です。
★MEMO(急所の歩)★
実際に第4図の形勢も互角だと思います。
ただ、先手は△6七銀成のあと常に6筋に歩を打つことができます(▲6二歩など)。
タイミング良く打てばかなりの効果を発揮する場合があるの気に留めておきましょう。
(第5図は▲6四飛まで)
第3図からの指し手 (2)

▲3二銀不成 △同銀
▲2四飛 △6七銀成
▲4四飛 △7八成銀
▲6四飛 (第5図)
★CHECK★
気合重視の▲3二銀不成。
★実戦例その2★
▲3二銀不成と金を取ってみます。
ここで△2六角と飛車を取れば▲3一銀不成(参考3図)と銀を取って二枚換え。
この変化は先手が良さそうです。
本譜の△3二同銀には▲2四飛が正着。
これで△6七銀成には▲4四飛と切り返します。
第5図は先手もかなり恐い局面ですが、持ち駒が豊富なのでうまく指せば優勢に導けそうです。
(参考3図は▲3一銀不成まで)
お互い後に引かない激しい攻め合いの変化ばかりでしたが、これが相掛かりの面白さとも言えます。
おそらく「あまり見かけない→先手が指せる」という結論になりそうですが、そこを納得できるまで調べてみるのも勉強方のひとつです。


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