§17.ミレニアム
藤井システムの登場で左美濃・居飛車穴熊の勝率が下がり、四間飛車が改めて盛んになりつつある頃、居飛車の新しい囲いとして生まれたのが「ミレニアム」です。
2000年辺りから注目され始めた為、この名称が付きました。
堅さとしては居飛車穴熊にも劣らず、また「8九玉型」で囲うので振り飛車の角のラインを未然に避けているのが長所。
今回は「囲いが完成するまで」を中心に見ていきましょう。
【7八金型・ミレニアム】
まずは7八金型。居飛車の角の動きに注目。
(第1図は△3三角まで)
第1図からの指し手 @

 ▲6六角  △6二玉
 ▲7七桂  (第2図)
★CHECK★
第1図の振り飛車側は居飛車穴熊を警戒した駒組みです。
つまり、このまま居飛車が穴熊に進めた場合は「§16.藤井システム」の居玉作戦で対応します。
★角を上がる★
第1図はまだお互いに「居飛車穴熊」を念頭に置いて進めています。
▲6六角〜▲7七桂がポイントとなる手順です。そしてこの後、本格的に「ミレニアム」の完成を目指します。
これを見た振り飛車も「居飛車穴熊」の可能性がなくなったので△6二玉から美濃囲いへの入城です。
(第2図は▲7七桂まで)
第2図からの指し手

 △7一玉  ▲8九玉
 △5二金左 ▲8八銀
 △6四歩  ▲7九金
 △7四歩  ▲6八金寄
 △8二玉  ▲7八金寄 (第3図)
★CHECK★
この手順はミレニアムが指され始めた頃の組み方。
低い陣形で堅いが、桂馬の頭(7六の地点)が弱いの気になるところ。
★ミレニアム完成★
桂馬が動いて空いた8九のマスが王様の定位置。
振り飛車の角のラインを避けているので「藤井システム」のときのような心配は必要ありません。この後は徐々に金・銀を集めていきます。
まず▲8八銀〜▲7九金と穴熊のように組み、最後は5八の金を7八にまで寄せていけば「ミレニアム」の完成です。
また、4八の銀も守りに参加させるときは▲5九銀〜▲6八銀の手順で進めていけば良いでしょう。※冒頭図参照。
(第3図は▲7八金寄まで)
★MEMO(地下鉄飛車)★
▲6六角〜▲7七桂と上がった形から第4図のように変化する作戦も有力。
「地下鉄飛車」と呼ばれる駒組みで、振り飛車穴熊のときによく用いられます。
この場合、美濃囲いですが同じように▲9八香〜▲9九飛と転回して9筋から攻めるのが狙いです。
(第4図は▲2九飛まで)
【6七金型・ミレニアム】
次に6七金型。こちらはバランス重視のミレニアム。
(再掲第1図は△3三角まで)
第1図からの指し手 A

 ▲7七角  △6四歩
 ▲6八角  △2二飛
 ▲6六歩  △7四歩
 ▲6七金  △7三桂
 ▲7七桂  (第5図)
★CHECK★
▲6八角△2二飛の後、▲5七銀〜▲6六銀と指す順も有力。
素早く4八の銀を移動させて四枚穴熊などに組み上げていく狙い。
★角を引く★
▲7七角〜▲6八角が工夫の一手。このとき振り飛車はまだ居玉なので△2二飛と受けるしかありません。
例えば△2二飛のところ、△5二金左なら▲2四歩△同歩▲同角で居飛車良し(ここで△2二飛は▲3三角成が王手!)です。
まだ△7三桂まではまだお互いに「居飛車穴熊」を含みにした進行ですが、▲7七桂と跳ねるのがミレニアムへの意思表示。
(第5図は▲7七桂まで)
第5図からの指し手

 △6二玉  ▲8九玉
 △7一玉  ▲7八金
 △5二金左  (第6図)
★CHECK★
振り飛車はなかなか激しい戦いを起こしにくい。
十分に組めれば居飛車不満なし。
★やはり8九玉が定位置★
▲7七桂からは同じようにミレニアムの完成を目指します。
やはり玉の定位置は8九ですが、6七金型の場合は離れ駒を作らない為に▲7八金と上がるのが大事なところ。
第5図の局面でお互いの囲いは一応完成しましたが、この後、居飛車は更に堅く囲うことができます。
それは下記の★MEMO★で。
(第6図は△5二金左まで)
★MEMO(4枚で囲う作戦)★
ここで悩ましいのは4八の銀の動き方。多くの実戦例では
▲5七角〜▲5九銀〜▲6八銀右〜▲8八銀〜▲7九銀右
と進めるのが一例(第7図)。金・銀4枚が密集していて穴熊にも劣らない堅さです。

4八銀を攻撃部隊として▲5七銀(または▲3七銀)〜▲4六銀と出ていく作戦もありますが、
ガッチリ金・銀4枚で囲うのが現在の主流のようです。
(第7図は▲7九銀右まで)
左美濃・居飛車穴熊の対策として優秀な「藤井システム」、それに対抗する作戦として登場したのが「ミレニアム」です。
時代の流れと共に進歩している序盤戦術。今後もお互いの研究合戦に注目していきましょう。


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