§34.阪田流向かい飛車
(第1図は▲2六歩まで)
「阪田流向かい飛車」は(故)阪田三吉名人が大一番で指したことで脚光を浴びた力戦振り飛車。同じ「向かい飛車」でも前回とは全く質が異なり、さばきよりも抑え込むことが中心で、居飛車党の人でも使いこなしやすい戦法です。
その狙いは単純明快ながら破壊力があり、相手にする方も甘く見ていると一気に潰される展開になります。

まず第1図、ここからが阪田流の駒組みです。
★MEMO(6月3日)★
偶然ですが、今日(6/3)は阪田三吉名人が生まれた日でもあります。
また、ひ孫弟子にあたる関西の畠山成幸七段・畠山鎮六段もこの日が誕生日。
阪田三吉名人について詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。
(第2図は△2二飛まで)
第1図からの指し手

 △3二金  ▲2五歩
 △3三角  ▲同角成
 △同金   ▲3八銀
 △2二飛  (第2図)
★CHECK★
△3三同金の時点で「阪田流」が予測できるので▲3八銀はそのことを視野に入れた銀上がり。
これ以外にも▲8八銀や▲6八玉などの実戦例がある。
★阪田流の駒組み★
△3二金と上がるのが阪田流の第一歩。
先手の▲2五歩には△3三角と受けておきます。
もし、ここで角交換が行わなければ後手はそのまま矢倉などに変化すれば大丈夫です。
注目は▲3三角成に対する△同金。
普通なら悪形なのですが、その後の△2二飛が継続手。
これで阪田流向かい飛車の完成です。
(第3図は△2四同金まで)
第2図からの指し手

 ▲6八玉  △4二銀
 ▲7八玉  △5二金
 ▲8八銀  △2四歩
 ▲同歩   △同金  (第3図)
★CHECK★
△5二金のところ、△5二玉と上がる手も有力。この手は小林健二九段の研究手で、やはり急戦志向の阪田流になる。
★阪田流の急戦★
第2図からは振り飛車は△6二玉〜△7二玉と指すのが普通です。
但し、この場合は持久戦模様になりやすく居飛車も十分な駒組みにできそうです(
MEMO参照)。
急戦で動いていくなら△4二銀〜△5二金。
そしてこの後は、本譜のように3三金を前進させていく狙いで進めていきます。
(第4図は△2六歩まで)
第3図からの指し手 (1)

 ▲7七銀  △2五金
 ▲6八金  △2六歩  (第4図)
★CHECK★
これは阪田流の狙いをわかりやすく示した例。
2筋の勢力で負けると居飛車がかなり苦しくなります。
★狙いは2筋★
まずは阪田流の狙いを明確にしておきましょう。
例えば居飛車が▲7七銀〜▲6八金と穏やかに囲った場合、△2五金〜△2六歩と抑え込んでいきます。
第4図まで進むと2筋が圧迫されて居飛車は動き辛く、振り飛車が指しやすい局面になります。
よって居飛車はこれより前に対策を考えておかなければなりません。
★MEMO(持久戦模様)★ (参考図は▲4七銀まで)
△6二玉〜△7二玉と囲う指し方もあります。

この場合は居飛車も▲3六歩からジックリ構えて持久戦になります。
参考図は駒組みの一例。
これは一局の将棋で振り飛車悪くありませんが、やや消極的な感じです。
ただ、玉の堅さは急戦型よりも勝るので、この後の手の作り方によっては面白い展開が望めます。
(第5図は△2五金まで)
第4図からの指し手 (2)

 ▲5六角  △3三銀
 ▲8三角成 △2五金  (第5図)
★CHECK★
馬を作らせても2筋を抑えこむことを優先させた順。
△7二銀なら違う展開になる。
★居飛車の反撃▲5六角★
▲5六角が定跡の反撃手段。
この手は次に▲8三角成と▲3四角(△同金なら▲2二飛成)が狙いです。
振り飛車はこれを同時に受ける手段はないので
  ・△7二銀▲2三歩△同金▲3四角(変化図)
  ・△3三銀▲8三角成△2五金(本譜)
いずれかを選ぶことになります。

どちらも形勢は互角。
(変化図は▲3四角まで)
(第6図は△5四角まで)
第5図からの指し手

 ▲5六馬  △2六歩
 ▲7七銀  △3五金
 ▲4六歩  △5四角  (第6図)
★CHECK★
この変化は振り飛車が良し。
第5図では▲2七歩が有力だった。
★急所の△5四角★
第5図以下の進行例です。
ここで注目したいのは振り飛車の手順。
△2六歩の後、△3五金〜△5四角が一連の好手で、次の△2七歩成が受けにくいのです。
特に最後の△5四角は急所となる一手なので覚えておきましょう。
第6図は振り飛車が指しやすい局面です。
以前、紹介した「棒金」のように金は攻めに使っても力を発揮します。
手厚い指し回しが持ち味で、アマチュアにも人気がある戦法なので居飛車は対策をしっかり用意しておきましょう。


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