| ■2手目スペシャル 〜先手有利へのアンチテーゼ〜 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 前回、特集しました「初手」に続いて、今回は後手の初手である「2 手目」に注目してみたいと思います。 2手目は初手ほどの広がりはありませんが、先手有利(↓の勝率デ ータ参照)に対するアンチテーゼとして、大きな課題となっています。 その中でここ10年の間に、横歩取り・中座流や四間飛車・藤井シ ステム、ゴキゲン中飛車、コーヤン流三間飛車など、プロ棋界でも 後手番での様々な戦法・戦術が日々研究され、登場して来ました。 しかし、それをはなっからこっち(後手)の流れに持って来ようとす るのが、後手の初手である「2手目」からの変化です。 それでは、2手目の変化を見て行きましょう。 ※今回は▲7六歩と▲2六歩に対する2手目(後手側の初手) のみをピックアップしました。 |
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| まずは、”2大応手”の3四歩と8四歩の勝率の変遷を見てみましょう。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 藤井システムの大ブレイクにより、平成10年度から後手の初手は △8四歩より△3四歩の局数が上回りました。 その人気の凄さは翌平成11年度の▲7六歩に対する△3四歩の 勝利が5割を超えた事で証明されています。そして藤井システムに 続いて、この年度に登場した横歩取り中座流もその流れ加わりました。 もう一つ数字上で目立つのは平成14年度の▲2六歩、△8四歩の 組合せの後手勝利3割台。この数字が今年度(平成16年度)の相掛 かり棒銀の流行でどう推移するのか注目されます。 |
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| △3二金 | Feeling | Data (56勝73敗) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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初手▲7六歩に対して、△3四歩・△8四歩 以外の後手の初手で一番多いのがこの△3 二金で、129局がデータから検出されました。 ご存知の通り、相手が居飛車党の時に、「( 飛車を)振れるもんなら振ってみろ!」という 挑発の意味を含んだ一手で、それに気合で 応えた居飛車正統派の棋士が飛車を振った ケースが多く見受けられます。 最近は居飛車・振り飛車と両方指す棋士が 増えた事もあり、昔ほどの有効性や意外性は 無くなって来た感があります。 その中でも谷川王位や羽生名人はタイトル 戦でこの△3二金を採用。柔軟な羽生名人 は分かりますが、早々からの大きな変化を嫌 う谷川王位が採用しているのは驚きです。 また、豊川六段はこの△3二金を一つの戦 法として開拓。この金を前線に繰り出すという 構想は豪腕・豊川六段らしい戦術で、20勝 15敗というハイアベレージを残し、かつて将 棋世界で、同戦術の講座も掲載された程で す。 |
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| △5四歩 | Feeling | Data (12勝16敗) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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昭和52年頃に指されていたデータも残って いる。いわゆる角道を開けない「原始中飛車」 の出だしだ。 平成11年〜12年にかけてゴキゲン中飛車 の創始者・近藤正和五段が連採していたが、 成果が上がらなかった為か、それからの採用 はない。 最近では、昨年度から「ゴキゲン」や「穴熊」 などの中飛車採用が目立つ久保利明八段が 年末にこの原始中飛車をA級や王将リーグで 採用し、注目された。 |
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| △6二銀 | Feeling | Data (12勝13敗) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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こちらは、羽生名人が谷川王位相手に敢行 した△6二銀で話題となった指し手。 「可能性がある」と感じた羽生名人は以降も タイトル戦で採用したが、ある結論めいたもの を感じたのか、それ以降は全く見なくなった。 しかし、それ以降も他の棋士の手によって 年に数局は現われている。 アマチュア強豪として有名な鈴木英春さん のオリジナル戦法の「かまいたち戦法」のバリ エーションの中にこの2手目△6二銀がある そうだ。 |
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| △7四歩 | Feeling | Data (3勝1敗) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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平成5年に中村修八段が続けざまに採用 し、当時の米長邦雄名人を撃破し、強烈な ”デビュー”を飾った。 ▲7六歩△3四歩▲2六歩△7四歩という 作戦は有力な作戦とされているが、それを 省略して△7四歩が中村八段オリジナル。 その時からすでに10年以上の時が経つ が、本家の採用は平成5年の対南九段戦 を最後に無い。再び見られる日はあるか… |
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| △5二飛 | Feeling | Data (1勝3敗) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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こちらも原始中飛車をベースにした指し手。 基本的には△5四歩と狙いと同じで、将棋 もこの手の影響で作戦負けになっていると いう事はない。 後手番の上、形をいち早く明示してしまう だけに、指しにくい手のようだ。 |
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| △1四歩 | Feeling | Data (2勝1敗) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ここからは「阪田三吉」でご存知の初手の 端歩突き。この2手目△1四歩は花田長太 郎八段と阪田三吉の「天竜寺の決戦」で指 された。 現役では乱戦の雄・田丸昇八段が採用。 深浦朝日選手権者・桐山九段といった難 敵から白星を挙げている。 |
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| △9四歩 | Feeling | Data (0勝2敗) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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こちらの方が有名でしょうか。「南禅寺の決 戦」で木村義雄八段に対して、阪田三吉が 放ったのが2手目△9四歩。 当時、この一手だけで、その真意につい ての論評が飛び交いました。 最近では、平成13年のJT将棋日本シリ −ズ(公開対局)で先崎八段が佐藤棋聖 に対して、▲7六歩△9四歩▲2六歩△9 五歩という出だしで始まり、以降△9二飛〜 △9四飛からひねり飛車模様に構えました。 ”見せる将棋”にお客さんは大喜びでした。 |
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| △3二金 | Feeling | Data (9勝9敗) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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この初手には、普通は△8四歩か△3四 歩しか考えられないところですが、ここでも 田丸八段は可能性への挑戦を続けてい ます。 そして平成12年には名人戦で登場。丸 山棋王の▲2六歩に佐藤康名人(当時) は△3二金!を採用しました。 |
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| △5二飛 | Feeling | Data (0勝1敗) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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これもかなり大胆な手です。 ▲7六歩に対する△5四歩や△5二飛と 同じように見えますが、大きな違いは先手 が角道を開けていないところ。 力戦中飛車の一つのポイントは角を交換 しての大きな捌きなのですが、この場合は 先手(居飛車側)が角道を開ける権利を持 っているので、なかなか中飛車側が暴れら れないのです。 |
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| △6二銀 | Feeling | Data (1勝0敗) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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これも平成6年に羽生名人が▲7六歩に対 する△6二銀を採用していた時期に指された 将棋。 数局試された▲7六歩△6二銀に比べて、 この組合せは1局のみしかない。 この将棋の流れは↓の参考棋譜をご覧下 さい。 |
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| ■参考棋譜 |
| 今回もこの1局しかない!という将棋を2局、ご紹介します。 1局は▲2六歩△6二銀の将棋と、この2手目スペシャルの主役となった田丸昇 八段が見せた初手▲7八金、それに対する青野照士九段の△3二金!という将 棋をご覧いただきましょう。 |
| 【初手▲2六歩、2手目△6二銀】 ▲畠山鎮五段(当時)vs△羽生善治名人 NHK杯トーナメント(H6.8/8) |
| 【初手▲7八金・2手目△3二金】 ▲田丸昇八段vs△青野照市九段 B級1組順位戦(H6.8/27) |
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